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カンボジアとインスタント麺🍜 ~カンボジアにズームインした日本発のインスタント麺~

カンボジア×インスタント麺

カンボジアプノンペン 

いつもお世話になってるコンビニで興味深いものを発見。


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グッド。ひねりの一切ないストレートな名前のインスタント麺。

このグッド、なんとたくさんの興味深い点が隠されている(というより僕自身が勝手に興味深さを感じている)。

まず1つめは、これがガッツリカンボジア向けの製品だということ。

カンボジアにおいてコンビニとか町の昔ながらの小売店でよく目にするインスタント麺はタイやインドネシア向けの製品を輸入してきたようなものばかり。成分表もタイ語とかインドネシア語とかで作り方わかんないよ(まあお湯入れて3分待つだけだけど)ってなったり、味付けもそれらの国仕様で極端に酸っぱ辛かったり あーこれはミーゴレン。ってなることがよくある。

しかし、このグッドは他とは違う。

そう、ガッツリカンボジア向け。パッケージもちゃんとクメール語。成分表、作り方もクメール語。味もカンボジア料理クイティウ*をしっかり再現。しかもご丁寧にプノンペンスタイル**テイストとご当地感バリバリ。

*クイティウ…カンボジアで食される米粉の麺料理。フォーみたいなやつ。

**プノンペンスタイル…町中のクイティウ屋台のメニューでよく目にするメニューの一形態。他のクイティウとは何が違うのか。調べたい。(調べてない)


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まさにカンボジア国民、プノンペン市民の自尊心をガッツリ掴むような一品となっているのだ。


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実際に封を開けてみると入っているのは、乾燥された米粉の麺・かやく・スープの素・調味オイルといった感じ。

作り方簡単で、どんぶりの中に麺とすべての小袋材料を入れ、お湯を注いで蓋して3分待つだけ。

特別煮込む必要もなく、最初にすべての小袋を入れてしまうので、これが先入れ?こっちは後入れ?とややこしい手順に頭を悩ませることもない。ということは日本ほどインスタント麺文化にまだ染まっていないカンボジアのひとたちにとっても非常に易しい食べ物となっているのだ。
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 出来上がったものがこちらで、正直味のほうは本物そのものすぎて部屋の中でひとり驚きを隠せなかった。

旨みを強く感じる動物系(おそらく牛?)のダシに、しっかりとしたコシのあるつるつるとした米粉の麺が非常によくマッチしている。

本物にかなり近い、
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のはスープと麺だけでなく、具のほうも忠実に再現されている。

そう、クイティウに欠かせないあのめちゃくちゃ美味くて大好きな肉団子も入っているのである。
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参考までにこちらが本物の肉団子。

ささやかな再現が非常に嬉しい。

 

ということで、ここまでガッツリカンボジアに寄った、忠実に真摯に本物のクイティウの美味しさに向き合ったインスタント麺は本当に珍しいと感じてる。

 

そして2つめの興味深い点としてはそんなガッツリカンボジア向けの商品を製造してるのが我らが日本のエースコックだということ。
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 お馴染みの赤い楕円のコーポレートマークに懐かしさをおぼえつつ、まさか日本の企業がこんなカンボジアひいきの商品を出してるなんて嬉しさと衝撃でひとり舞い上がってしまった。

 

で、驚きの点3点目、

エースコックのマークをよくみてほしい。


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あのお馴染みの子ブタちゃんが普通のコックさんに変えられてしまってるのだ。

パッと見、「あ!エースコック!!懐かしの子ブタちゃん😂」ってなって数秒後に「ん?子ブタちゃん?」ってなる。

ではなぜあの可愛い子ブタちゃんがここカンボジアでは解雇され、普通のコックさんが採用されているのか。


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まずこれを見てもらってもわかる通り、この商品はエースコックベトナムの製品であるのだ。

エースコックは1994年に当時の即席麺業界で異例であり初のベトナム進出を行い、 ベトナム向け製品「Hao Hao」という商品を売り出しベトナム国内にて即席麺シェア一位となるまで人気を掴んだ。

また、今年の春にはミャンマーに工場を新設させ着々とアジア戦略を、他の日本即席麺業界の追随を許さない勢いで、進めている。

エースコックは東南アジア地域において、市民権を獲得するためにいま猛烈に力を入れているのだ(と思う)。

そんな東南アジアをターゲットとした時、様々な面で多様性のある地域がゆえいろんな問題が生じてくる。

ひとつは宗教。東南アジア地域において広い目でみると様々な宗教が混在している。

仏教にヒンドゥー教キリスト教イスラム教、

そう。将来的にイスラム圏のひとたちにもエースコックをひいきしてもらうためには、彼らにとってけがれの象徴であるブタちゃんなんかにコックなんてやらせてはいけないのだ。(ちなみにカンボジアは仏教国)

そんなんもう絶対インドネシアとかマレーシアでは売れないことは目に見えている。

てことで、東南アジア地域において子ブタちゃんはその位置を降ろされ、代わりに可愛いコックさんが採用されたのだ(という考察です)。

 

近くのコンビニで何気なく見つけたひとつのインスタント麺からいろんな面白い面が発見できました。

エースコックについてこんなに調べたのは人生初です。

何気ない発見にちょびっとだけ文化が垣間見えてきたかと思います。


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長文でもうみなさんお腹一杯でしょう。

ありがとうございました。さようなら。

今晩の夜食はエースコックで。グッドナイト。

🔗http://www.acecook.co.jp/

#エースコック #カンボジア #グッド